続・小さな恋のメロディ~貴方が好きです~
呆然とする私を無視して、医者はしゃべり続けた。


「可能性はゼロではありません。まだ若いし、前向きに頑張りましょう」


私と鳴海は重い空気を振り撒きながら、診療室を出た。


さっき迄普通に見れていた、妊婦たちが妬ましい…。


ねぇ、何でそんな幸せそうな顔をしているの?


私と代わってよ?

会計を済ませると、受付の女に言われた。


「旦那様の検査結果が、一週間後に出ますので、その頃又、来て下さい」


…又、ここに来るの…?


幸せそうな顔をしている女がいっぱいいる中に、又、来ないといけないの…?


お義母さんに、何て言えばいいんだろう…?


言いたくない。

でも言わないと、あの人は一生、毎日のように孫の催促に来るだろう……。



「可能性はゼロじゃないし、大丈夫だよ」


鳴海に慰められ、病院を後にし、車に乗ろうとした瞬間懐かしい声がした。



「…綾香?」


この声は……。


振り返ると


そこには…。



お腹を大きくした


里沙の姿があった……。


何で…




里沙がいるの……?


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