続・小さな恋のメロディ~貴方が好きです~
私の頭の中で、あのシーンが甦る。


階段から落ちて、里沙が走り去る姿が……。


「…あの時は…ごめんね」


申し訳なさそうに、里沙は言った。

私は頭の中が混乱して…。

言葉が出ない……。


「……」

「私、子供が出来てやっと分かったの…。だから、ずっと謝りたくて…」

「…いいよ、もう…」

「でも、ここに居るって事は、綾香もおめでたでしょ?」


少し嬉しそうな顔をして、里沙は言う。


「そ…だよ」


私は無理して笑って言った。


「良かった…。私、番号変えてないから、いつでも連絡して…?」

「…うん」


里沙は鳴海にペコっと礼をすると、嬉しそうに病院に入って行った…。

悔しくて涙が出る…。


ねぇ、あの後どんな事があったか知らないでしょ?

私はあの時のせいで、二度と子供が出来ないかもしれないのに…。

言ってやりたかった。


でも、妊娠して幸せそうな里沙を見ていると、そんな事、口が裂けても言えない。



言いたくない……。


神様は意地悪だ。



何で里沙には子供が居て、私には……。


こんな所で里沙に会いたくなかった……。


< 23 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop