続・小さな恋のメロディ~貴方が好きです~
「ただいま」

「お帰りなさい。あのね、今日中津さんから電話があって、結婚式に来て下さいって」


私は平常心を必死に保ちながら言った。
心の中の複雑な思いを、鳴海に気付かれないように…。


「いつあるの?」

「三ケ月後だって」

「じゃあ、ドレスか着物、買いに行かなきゃな」

「うん」


鳴海は深く聞くわけでもなく、私はホッとした。

鳴海だって、マリナと結婚相手、子供がいる事を聞くと、あの頃の事を思い出すに決まってる。

言わないで済むなら、その方がいい。


その夜、私は又あの夢を見た…。

牧野さんと赤ちゃんが、ビルの上から空を飛ぶ……。



「嫌ーーーーーーっ…」


汗だくになって目を覚ますと、いつも抱き締めてくれる鳴海の姿が見えなかった。


「鳴海…さん?」


部屋の中には鳴海の返事どころか、気配すらない。

普段とは違う、嫌な胸騒ぎがした。


部屋をソッと出て、鳴海の姿を探す。

鳴海の姿はトイレにもお風呂にもなく…
私の部屋のドアの隙間から、僅かな光が漏れている事に気付いた。

ドアをソッと開けると、私の机の前で立ち尽くす鳴海の姿があった…。

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