続・小さな恋のメロディ~貴方が好きです~
鳴海は名前を隠して寄付したんだ…。


「海でも行くか。時間は何時くらい迄大丈夫?」

「何時でもいい」

「東城さんは大丈夫なのか?」

「仕事…忙しいみたいだから」

「そうか」


哲平は車を走らせ、海に向かう。
黙っていても、何か懐かしくて心地良い感じ…。

二年前は私の一番の居場所だった、哲平の隣。


「何…考えてる?」

「…綾香と同じだよ、多分」

「……」


海に着くと、私と哲平は思い出話に花を咲かせた。

張り切って海に行こうとして、雨が降った事…


毎年行こうねって約束した花火…


少しだけ大人になった私達は、二人で過ごしたあの時間を、大切に思っている事を確かめ合う様に、終わった時の事には触れないで、楽しかった日々だけを思い出す…。


二人の間に出来てしまった時間を、埋める様に…。


「哲平は、この二年何をしていたの?」

「俺…?会社を立て直すのに必死だったよ」

「頑張ってたんだね…」

「でも親父や、寄付をしてくれた人だけの為にじゃないよ」

「……?」

「東城さんと並べるような男になって、綾香の事を取り返したかった。…あの頃の俺じゃ、何も出来なかったからな」

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