続・小さな恋のメロディ~貴方が好きです~
「何で何度も電話を切るの…?」


やっと繋がったママとの電話に、私は涙声になって聞いた。


「…?貴女に電話したのは、これが初めてよ?それよりごめんね、綾香…」


私は一瞬沸いた違和感を胸の隅に置いて、ママと話しを続ける。


「今、何処に居るの…?」

「…言えないの」

「帰って来るんでしょ…?」

「…ううん、もう帰らない。やっと本当の自分の居場所が分かったのよ…」

「……」


私は何も言えなかった。
ママの声は母親では無く女の声で、同じ道を歩いて来た私には、痛いくらい気持ちが解る…。


「落ち着いたら、貴女には連絡先を教えるから…。本当にごめんなさい…」

「…うん。待ってるから…」


電話を切ると、涙が出た…。

ママは、ここに帰れば当たり前のように、ここに居たから…。

ママが居なくなるなんて、考えた事も無かった。


クールだったけど、私の一番の理解者だった人…。




電話での会話と私の様子を見て、鳴海は何があったのかが分かったみたいで、何も言わないで私を抱き締めた…。

私は鳴海の胸の中で、思いきり泣いた……。

この時、あの公衆電話からの着信が誰からかなんて、気にも留めてなかった…。


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