続・小さな恋のメロディ~貴方が好きです~
「ちょっと待ってて…」


私は女をプランタンに残して、ATMに急いだ。
一度も手を付けた事の無かった、結婚式の時に貰ったお祝いのお金の通帳から、カードで50万を下ろし、封筒の中に入れる。

プランタンに戻ると、女は誰かと電話をしていて、私を見るとすぐに切った。

私は席に座り、鞄から封筒を出してテーブルの上に置く。


「ご苦労様」


女は上機嫌になって、お金を数え始めた。


「手切れ金よ。もう二度と私に電話しないって約束して」


でも、女は言った…。


「アンタさぁ、出産するだけでいくらかかると思ってんの?

「…いくら必要なの?」

「さぁ?必要になったら、連絡するわ。それに…私はアンタと東城が離婚する迄、面倒見てって言ったんだけど?」

「……」

「お金を払うのが嫌なら、さっさと東城と別れる事ね」


女は鞄にお金を入れると

『又ね』

そう一言残して出て行った…。

女を最後まで見送ると、身体の力が一気に抜けた。

又、電話が掛かって来るんだ…。

その度お金を払って、それはいつまで続くの…?


私は鞄の中に無造作に入れていた、カードの明細書を小さく折り畳んで財布にしまい、プランタンを後にした。

< 75 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop