続・小さな恋のメロディ~貴方が好きです~
「ありがとうございます」

「いや、どうやって立て直したか、聞かせて貰おうじゃないか!」


パパは上機嫌で、

”あの頃の事は忘れました”

そんな勢いで哲平と話し込む。

私は鳴海に聞いた。


「ここに呼ばれるって、そんなに凄いの…?」

「まぁ…。業界のトップの方にいる人間と、政界の人しか呼ばれないからね」

「ふ~ん…」


結局パパは、そういう部分でしか人を見ないのね…。
あの頃の哲平を否定した様に…。

私はパパと哲平の姿を見ながら、複雑な思いだった。


帰えりの車はパパだけ上機嫌だった。

哲平の事をひたすら褒め続ける。


「いやー、あの頃はただの潰れそうな町工場の息子だと思ってたが、数年経つと変わるもんだな」

「……」

「なぁ、鳴海くん。君もそう思うだろ?」

「…はい」

「今度、彼とうちで飲む約束をしたから、君も来なさい」


飲む約束?
鳴海を誘うパパの無神経さに、イライラした。


「パパっ!」

「別にいいだろう?綾香と鳴海くんは正式な夫婦なんだ。いつまでも過去にこだわっても、仕方ないからな」

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