こめかみに銃口
「だれ……?」
上半身を起こしたわたしは、とっさに尋ねた。
男は目をわずかに見開いたあと、またゆるく笑みを作った。
「なんの冗談?」
「冗談なんかじゃ……。それに、ここはどこ?」
ぐるりと部屋の中を見渡す。ずいぶん広い部屋だ。
わたしが座っているこのベッドは、たぶんクイーンサイズ。初めて見るサイズのこのベッドが小さく見えるほど、部屋が広い。
だいたい教室ひとつぶんはありそう。
だけど、教室と違ってすごく味気ない感じ。教室に味気を感じたことはないけれど、それよりももっとずっと、質素。
壁は全部が真っ白だし、模様はないし、窓もない。棚もない。
ノブがなければ壁と見間違えてしまうドアがふたつあるけど、あれはどこへつながっているんだろう?