まさか私が告白されるなんて
 そうして私は今重村君の家にいる。
勉強会をするために。

「まさか、こうなるとは思ってなかったな」

付き合って二日目で彼氏の家。
不思議な感じがして落ち着かない。

「じゃあ、勉強始めるか」

そう、明るく言う重村君。それに対して私も「うん」と言って教科書を出す。

重村君の教え方は上手い。

私の分からないところがどんどんと理解できる。
彼は教えるのがうまいのだと、すぐさま理解した。

そうして勉強がひと段落ついたころ。

「ありがとう。おかげでだいぶ分かってきた」

分かんなかったところがどんどんと減っていく。

「教えるの上手いね。将来は先生?」
「いや、そんな……」
「謙遜しないでよ」

そんな時、ドアが開く。

「勉強捗ってる?」

そう、30代後半の黒発ショートカットの女性が出てくる。
重村君のお母さん。妙子さんだ。

おやつを運んできたのだろう。


「今休憩してるところだよ」
「あら、そう。ってことは十分勉強できてるみたいだね」
「人に教えるのって、自分の勉強にもなるからさ」

そう言って、自分の胸板をグーで叩く重村君。

「本当に重村君、勉強教えるの上手いから……」
「あら、重村だと、私もになるわよ」
「じゃあ、琢磨君……?」
「そうそう、カップルなんだもの、名前で呼び合わないとね」

なんとなく、この人怖い……
私がオアという物にあまり触れてこなかったからかな……

「じゃあ、楽しんどいて、カップルにしかできないことをしてもいいわよ」

そう言って風のように去って行った。

「カップルらしいこと……?」

ハグとかキスとかしなきゃならない雰囲気?

「母さんが勝手に言っているだけだよ。俺たちは少しずつやっていけばいい」
「そうだね。……琢磨君」
「別に重村君でもいいってば」
「でも、少しずつとは言っても琢磨君との仲が進展しないのは嫌だから」

名前呼び恥ずかしいけれど。

「なら、ゆっくりだな」
「うん」

そして私たちは名前を数回呼び合った。
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