【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。



「これ、大事なものだって言ってたなぁ……確か、お母さんと出会ったのはこのお稽古の時だって」


 煎茶席に道具に下にひく茶具褥(さぐじょく)涼炉(りょうろ)と呼ばれるコンロのようなものなどの馴染みのないものや急須や湯冷し、茶碗に茶托などの見たことも使ったこともあるものも入っていた。


「これはちゃんととっておこう」


 ……それから。
 お父さんの机の引き出しも整理しないといけないと思い、鍵を開けた。
 すると一番上にあったのは【借用書】という紙だった。


「しゃくようしょ……借用書!?」


 その下にはお父さんが書いたであろう手紙だった。
 そこには、両親の間にはたくさん借金をしたこと。若い時、お金がなくてどうしてもとガラの悪い業者に頼んで借りてしまったこと。

 借金返済に売り上げは当てていたため貯金はほぼ無くなっていること……まだ、完全に返済できていないことが書かれていた。


「こんな金額、払えるわけないじゃない……!」



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