【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
「メイクの前にドレス着ましょうか」
「はい」
亜美にドレスを渡されて、背中のファスナーを下ろすとそれを着た。
今日は、アンティーク調の刺繍レースが施されたレトロな雰囲気のライトカーキのフレアドレスだ。長めの五分袖で袖口のシャーリングが可愛らしい。
腰にはアイボリーのフェイクレザーベルトをして腕には三連のマグネットブレスレッドを付けている。
「今日も髪を編み下ろしにしようと思っているのですが、どうでしょう? ヘアアクセはフラワーパールピンにしようと思っています」
彼女は透明な箱に入っているピンを私に見せてくれた。フラワーをモチーフにしてパールとクリスタルビジューがキラキラしていて上品なものだ。
「うん、それにしてくれる?」
「かしこまりました」
透明な箱からピンを取り出すと左横に綺麗に付けられた。
支度が完璧に終わり、下に降りるとちょうど大宮さんが来たところでお祖母様と和成さんと話をしていた。