【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
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「……つまり、借金があったと」
「はい。だけど売り上げとか考えて、返済できる額ではなくて」
翌日、心配で戻ってきた瑛一さんに借金のことを正直に話した。そして、このままじゃお店も続けることはできないんじゃないかと伝える。
「そうか、確かにその額だと……貯金を出し合っても払えそうにない。それにお店も難しそうだな」
「はい」
私は、ここで婚約を解消してもいいんじゃないかと思っていた。
だって、父に強引に結ばれた婚約だ。それだけでも申し訳ないのに、家の借金まで背負わせるなんてできない。