【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
◇父方の祖母現る。
「……すみません、こんなものしか出すことができなくて」
「いいえ、ありがとう。いただくわ」
インターホンを押した本人は、綺麗なおばあさまだった。お父さんのお母様だと言っていたけど……本当なのかな。
「あなたは菊亭千愛さんね。昂の一人娘よね?」
「はい、昂は私の父の名前です」
この方は、由良乃美子さんというらしい。お茶屋で有名な由良乃製茶の社長で、父・昂はその会社の御曹司だったと説明された。