【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。



「養子縁組届……?」

「はい。由良乃にて暮らすにあたって、養子縁組をします。養子縁組をしてもあなたの両親は、昴様とさくら様ですのでご安心してください」

「はい。わかりました……」


 お祖母様の名前もあるし、これも拒否権はないんだろうと思ったので私は和成さんからボールペンを受け取り名前を書いた。

 ここに名前を書いたら私は、もう菊亭ではなくなるんだな……私は、由良乃千愛になるんだなぁと考えて寂しさを覚える。  


「書きました。確認をお願いします」


 私がそう言うと彼は一通り見て「大丈夫です、ありがとうございます」と言ってくれたので安堵する。そして印鑑を押せば、彼はそこにあてがみをして封筒にしまった。

 そうして私は、和成さんとともにこの家を出た。



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