【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。



「お待たせいたしました」


 幾島さんは慣れた手つきで紅茶を入れると三人の前に置いていった。そして、ケーキがお皿に盛られて目の前に置かれる。


「千愛様、お砂糖とミルクはご利用でしょうか?」

「大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

「とんでもございません。……では、奥様、千愛様、和成様。ごゆっくりお過ごしください」


 そう言うと、幾島さんをはじめ使用人の方は出て行った。


 その後、ケーキを完食すると和成さんに言われるがまま出かけることになった。最初はこれから着る日常の服。

 一般庶民なら結婚式にでも行きますかと問われそうな服を何着か、靴やランジェリーも購入してくださった。

 そうして美容院で髪もセットされて私は容姿だけは完璧なお嬢様が完成したのだった。




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