【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
◇お祖母様の誕生パーティー
「――できましたよ、千愛さま」
私の専属でついてくれているメイドの亜美が鏡を持ってきてくれて鏡を覗き込む。
「わぁ……素敵ね、亜美。亜美、今日もありがとう」
「いいえ、千愛様は可愛らしいので磨けば光るんですよ」
「でも。亜美の腕もいいのよ……本当にありがとう。お姫様になった気分だわ」
本当にお姫様みたいだ。
今着ているドレスはアプリコット色のシフォンスカートで膝上の長さのフェミニンドレスだ。
デコルテと袖がレースで仕立てられていて後ろは編み込みになっており背中が少し開いていて胸元はフリルになっているからボリュームがあって……胸が小さい私には最適だ。
髪は、サイドが編み込みが施されていてアップスタイルになっていて花冠をモチーフにしたカチューシャをしていて気に入っている。足元はヒールでドレスと同じ色に合わせた。
別人の自分に少しだけうっとりしていると、部屋のドアがノックされた。
亜美がドアを開けると「もうお邪魔してもいいかな?」と声が聞こえてきた。