【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
「……千愛様、若旦那様がお見えです。通してもよろしいでしょうか?」
「和成さんが?」
「はい」
「通して大丈夫よ。ありがとう」
そう言えば、亜美はドアを開けて「どうぞ」と言っているのが聞こえて少し背筋を伸ばした。
「千愛……とても綺麗だね」
「ありがとうございます、和成さん。亜美がとても素敵に仕上げてくださいました」
私が亜美の名前を呼べば、少し照れたように微笑んだ。
「そうか。亜美、ありがとう……下でお祖母様が待っているから行こう」
「はい。……じゃあ、行ってくるわね」
亜美は「お気をつけて」と言うと、部屋から出るまでお辞儀をして見送ってくれた。
私と和成さんは玄関に近いリビングへと向かう。私の部屋は二階なので螺旋階段で降りると、リビングにはお祖母様を引き立てるお着物姿のお祖母様がいた。