【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。



 うん、わかってますよ。私は美人じゃないですしね……それに、和成さんとどうこうなろうだなんて思っていないし。

 私は、従兄としか思っていないし彼も従妹だとしか思っていないだろう。

 そんなことを考えながら私は和成さんのエスコートの元、お祖母様と一緒に壇上に上がった。
 すると、一斉に拍手が起きた。拍手が鳴り止んだ後、司会の方が「では、由良乃社長からご挨拶を」と言った。そして、お祖母様は各方面にお辞儀をする。


「由良乃製茶の社長、由良乃美子でございます。ご来賓の皆様には平素より多岐にわたるご支援を賜り、誠にありがとうございます。また本日は、私の誕生パーティーにきてくださり重ねてお礼を申し上げます。前社長が病に倒れ、私が社長に就任してもう早いことで十年以上経ちます。これからも、若い者に負けぬよう努力をしてまいります」


 お祖母様は澄んだ声で話をすれば「話が長くなりそうなので、今日は紹介したい者がいます」と言い、私に目配りをした。


「私の孫の千愛です」


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