【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
靴下を履き終わり、談笑をしていると「失礼致します」と低い男性の声が襖の向こうから聞こえた。
和成さんが「はい」と返事をすると、ゆっくりと襖は開いてそこには男性のスタッフがいた。
案内人として迎えに来てくれたみたいでお茶会が開かれる部屋まで案内される。中に入れば、中にいた女性のスタッフが席まで案内してくださった。
和室だが、和室に合ったテーブルが置かれていて椅子で座るテーブルではなく簡易型のテーブルだ。
私がもう着席している方々に挨拶をしていれば、大宮さん――もとい、大宮春仙家元嗣がやってきた。
嗣というのは後継者という意味で、家元嗣というのは次期家元という意味らしい。
彼は、点前座に座ると盆の上に乗っている茶托をおろし一礼をした。
そして私たちの方向を向き再び礼をして「本日はお越しいただきありがとうございます」と挨拶をした。そして、盆に乗っている道具をそれぞれの定位置に置いた。湯冷ましや茶碗を丁寧にゆっくりと起こしていった。