【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
まず、湯冷ましにお湯を注ぎ入れその次に急須、そして茶碗の順に注いだ。
その次に茶入を回し入れながら茶合に茶葉を乗せた。そして急須の中に茶葉を入れて湯冷ましに入っているお湯をまずは入れて蓋をする。茶碗のお湯は建水に捨てると、急須を持ち回すと素早く茶碗に入れた。
……一口、くらいあるかなぁってほど。
だけど、以前にそれくらいが適量なんだと聞いたことがある。するとお茶の旨みとかが溢れ出て美味しいんだとか。
それで最後の一滴が“黄金の一滴”と言われていてそこにお茶の旨みが凝縮されているんだとかなんとかってお父さんも言っていた気がする。
大宮さんは茶碗の底を茶巾で拭くと茶托に乗せると、先ほどの男性スタッフが一つずつ配った。
「頂戴いたします」
そう一人が言うと、それぞれに同じ言葉を皆が言う。
和成さんもそう言っていたので私も「頂戴、いたします」と少しカタコトになりながら言って和成さんを盗み見ながら左手を茶托に添えると茶碗を右手で取って左手に乗せて両手を使いいただく。
茶碗に口をつけると、お茶の香りがふわっと香ってそれを一口飲む。そして香りと色を楽しんで静かに飲んだ。
ほのかな甘みと、旨みがあってとても美味しい。
「……美味しゅうございました」
そういった言葉が次々に聞こえて私も慌てて「美味しゅうございました」と言った。