【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
「……やっぱり、由良乃家のアップルパイは最高ね。お店には負けないわ」
「ありがとうございます、私も大好きなんですこのアップルパイ」
このアップルパイは、この家の料理人が作ったものだ。料理人の中にレストランなどでスイーツ部門で働いていたことがある方がいてよくお祖母様とお茶会をするときに焼いてもらうんだけど……それが最高すぎて。
「先生がいらっしゃる時は、アップルパイで頼みますね」
「え! 最高だわ。それ。ここにくるのが本当に楽しみ」
先生と談笑して今日のお稽古は終わった。
それから部屋に戻って着物を脱ぐと、亜美に渡して洋服に着替えてからお祖母様が勧めてくださった本を読み始めた。