【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
「そんなことはないよ。亜美がすごいんだよ」
「ありがとうございます、嬉しいです」
亜美のことをベタ褒めしていると、ドアがノックされて入ってきたのはお祖母様だった。
「まぁ、可愛いわねぇ! お着物なのに、洋服みたいだわ」
「ふふっ、ありがとうございます。亜美が素敵にしてくださいました」
「そうなのね、素敵よ。……亜美もありがとう」
「いいえ! 好きなので、とても楽しくやらせていただいています」
確か、亜美は芸能人のヘアアレンジとかメイクとかしていたと聞いたことがある。色々あったけど、和成さんにスカウトされたらしい。
「さぁ、行きましょうか」
「はい、お祖母様……亜美、行ってくるわね」
一歩、二歩歩いて振り向きそう言うと「はい、行ってらっしゃいませ」と言って見送ってくれた。
部屋から下に降り、外に出ると車がもう来ていた。
運転手さんはドアを開けるとお祖母様に手を差し伸べエスコートをして私にもしてくださった。
「ありがとうございます」
「……とんでもございません」
そう言ってドアを閉めると、運転手さんは運転席に座りエンジンをかけると車は出発した。