【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。



 前菜に続き、椀物の蟹豆腐・菜の花・紅白千夜結び、天盛り・蟹味噌・松葉ゆずが出てくる。

 食べ終わる頃あいで、お作りや中皿に揚げ物、強肴である松坂牛のステーキが出てきた。


「……美味しいですか? 千愛さん」

「はい、とても。柔らかくて口の中でとろけてしまいます」

「それはよかった」


 そんな会話をしながら、ご飯の茶飯が来て碾茶の香りが鼻いっぱいに香ってくる。



「これは由良乃製茶さんのお茶ですね」

「そうなんです。最近、お付き合いをさせていただいています」

「そうなのか。私は、由良乃さんの碾茶が一番好きなんだよ」

「まぁ! 嬉しいですわ」


 お祖母様は褒められてとても嬉しそうだ。

 その後赤出汁が出てきてそれを食べ終わると、発酵巨峰のどらトォッツォというものに黒麹の甘酒ソースがかかっている塩あずきアイスが出てきた。
 黒麹の甘酒ソースは普通の甘酒とは違ってフルーティな味がして不思議な味。すごく美味しい。


「……おいしかったです」


 食事の感想を言い合っていると、お祖母様たちが定番の『後は若い方々で……』というセリフを言って部屋からサササッと行ってしまった。



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