【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
「どうかしました?」
「俺は君に会いに行っていたんだよ」
「……え? 会いに?」
「俺は、千愛さんには婚約者がいるのを分かっていたのに千愛さんに会いたくて通ってた」
……好き? 大宮さんが?
私に会いたくて……?
「……えっ、なんで」
「和菓子屋の時の作務衣も可愛かったけど、パーティーの時のドレスも今日の着物も可愛い」
「なっ……!?」
「……千愛さん、好きです。俺の婚約者になってください」
これは夢なのだろうか。
こんな素敵な男性が、私を好きになるはずはない……そう思うのに。都合のいい夢のはずなのに、私は頷いてしまった。
それから、私は記憶がない。
起きたら、ベッドだったんだから――