【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
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運転中、大宮さんはとても素敵だった。
いや、素敵すぎた。横顔もイケメンってどういうことだろう……
「千愛さんに見られるのは光栄なことなんだけど、とても緊張するから」
「あっ、すみません。そういえば、今からどこに行くんですか?」
行き先を全く伝えられていなかった私は疑問をありのままに問いかける。
「それは秘密。まぁ、まずはランチだね」
「そうですね! 何を食べるんですか?」
「だからそれも秘密。楽しみにしてて……今は風景でも楽しんでてよ」
どんどん都会の灰色だった景色が緑色に、緑色だったのが青くなっていった。
「海……?」
「よし、到着。降りて」
大宮さんは運転席から降りると、助手席のドアを開けて今度は降りやすいように手を差し出してくれた。
外に出ると、潮風の匂いがした。それに、周りを見れば可愛らしい素敵な建物が見える。