【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
「かわいい……」
「だろう?」
お店の方を見ると【Open】と看板が立っていてレストランなんだと見てわかった。
大宮さんは「さぁ、いこう」と言い、お店へ歩く。少しだけ砂があって転びそうになるけど彼に支えられてなんとかお店の入り口まで辿り着いた。店のドアを開けると、カランカランと店の鈴が鳴る。
「いらっしゃいませ〜ご予約様でしょうか?」
店の奥から近づいてきた店員さんに聞かれて大宮さんは頷いて「大宮です」と言った。
「……はい、大宮様ですね。お待ちしておりました。お席に案内します。どうぞ」
店内の奥に入ると、そこはモダンな空間が広がっていた。
案内されたのは海が一望できるオーシャンビューな景色が正面に見える半個室の席だった。
「綺麗……」
「気に入ってもらえてよかった。千愛さんは海を見るのは初めて?」
「あ、はい。テレビとかでは見たことあったんですけどなかなか行く機会なんてなくて……だからほとんど初めてです」
「そうなんだ。ここはね、釜飯が美味しいんだ。もちろん海鮮も」
私たちは席に座ると、すぐに店員さんがやってきてお冷とおしぼりを持ってきてくださった。