【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
◇名前を呼ぶ声
いつものお祖母様とのお茶の時間。
今日は、お祖母様が煎茶を淹れてくれて頂いた羊羹を食べているとお祖母様に話しかけられた。
「――で、大宮さんとはどうなの? 仲良くしてる?」
「はい。大宮さんにはとても良くしていただいてます」
あのドライブデートから一ヵ月経ち、その日から時間があったらランチに行ったり最近はディナーに誘ってもらったりしている。
だから、結構良好だと思いたい。
「そうなのね。そういえば、煎茶道もお稽古してもらうのでしょう? 良かったわね」
「はい、来週からお稽古していただきます」
私は由良乃家に来てたくさんのお稽古をして来た。礼儀作法にテーブルマナーや着付けに華道、香道、茶道、日本舞踊などなどの様々な習い事だ。
だけど、煎茶道は初めて習う。茶席で座ってるだけでも緊張したのにする側になったら、どうなるんだろうと思っている。