【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
「そういえば和成さんは……?」
「和成は今、海外にいるの。出張でね」
そっか、海外……海外なら、見なくてもおかしくないか。
だけど、ここに来てからずっと一緒にいてくれたから会えないと寂しく感じる。
「そうなんですね」
「何か用事だったかしら?」
「お見合いの日に着たお着物、和成さんが着物自体を選んでくださったもので……だからお礼を言っておこうと思ったんです。メッセージで送ろうと思ったんですけど、直接、言いたいなって」
洋服のようなお姫様のような着物と小物を選んでくれたのは和成さんだ。だからお礼を言いたかったんだけど……
「あら、結構センスがあるのね。あの子も……後、三日ほどすれば帰ってくるわよ」
「そうですか。教えてくださりありがとうございます、お祖母様。今日は、日本舞踊の日なのでそろそろ行きますね」
「えぇ、わかったわ。行ってらっしゃい」