【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
◇借金発覚と逃走
――父が亡くなった。
喪主は一人娘である私がすることになり、瑛一さんもお手伝いをしてくださった。だけど、これからどうしたらいいのか考えられない。
だって、数時間前に生きていて笑い合っていた人がいなくなってしまったなんて……信じられないのだ。
「……お店、どうしよう」
「千愛さん、お店のことはゆっくり考えよう。今は千愛さんも精神的に辛いだろ?」
「……うん。そう、ですね」
まだ遺品整理もできていないし。瑛一さんが言ってくれた通り、お店のことはまだまだゆっくり考えよう。
私はお店のことは後回しにして、遺品整理から始めることにしたので住居スペースに一人向かった。