【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
始めに、胸の高さで持って親骨を一つ開くと、それをずっと平らに奥へ広げていく。
開いたら、握り込みで持った扇子を右膝につける。左手は手前に立て手の平で前へ閉めていくと閉じることができる。
それを二度して、次に足のすりあしだ。姿勢を正し、腰を入れる。正面に足を滑らすように出し最後に爪先を下ろして着地する。頭は揺らさず、重心がブレないようにして歩く……と。
「そうそう、うん。お上手よ、千愛さん……本当に一ヶ月ほどでこんなにできるようになるなんて要領がいいのね。じゃあ、踊っていきましょうか。私が一度踊るからその後に一緒に踊りましょう。今日は『鶴亀』という曲に合わせて踊るわね」
桜子先生は、スマホにスピーカーをつけて曲を再生する。すると、先生は話している時とは全く違う凛としていてとてもかっこよかった。
思わず見惚れてしまうほどには……
終わる頃には私は拍手をしていて、この後自分も踊るんだということを忘れてしまっていた。