【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
◇トラブル
そして一週間が経ち、今日は大宮さんに煎茶道を教わる日。だからか少しだけ早く起きてしまった。
いつもは七時ごろ起きるのに今は六時半だ。早く起きたし早速朝食を食べて、今は九時だ。
「今日は早いですね! 千愛様」
「……うん。なんだか、楽しみで早く起きちゃった」
「ふふっ、大宮様もとても優しいし好きになるのは必然ですよね〜」
亜美は私の髪を解かしながらそんなことを言った。だから「好きとかそういうんじゃないんだよ」と否定を私はした。
「……え、好きじゃない? あんなに仲良しで、この前も楽しそうにしていらっしゃったのに」
「大宮さんとは縁談相手だし、優しいけど私なんて釣り合い取れてないと思うし……何より大宮さんはそんなふうに私を見ていないと思うわ」
ただ、自分が通っていた和菓子屋の娘がこんな風になって同情もあるんじゃないかなぁって思っている……あくまで推測だけど。
好きだとは言われたけど、あれはお見合いだったしあの場だからだと思う。