【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
和成さんはスーツを着ていたが、時差ぼけだと言って眠そうだった。だけど、荷物を持って来てくれたらしい。
「……ありがとう、和成さん。疲れてるのにごめんなさい」
「いいんだよ、気にしないで。それにしても災難だったね」
「そう、ですね……」
そういえば、和成さんは週刊誌の内容とか知ってるのかな。
「……そうだ、一応報告だけど週刊誌のコメントしていたのは千愛の婚約者だった瑛一という男だ。千愛には、『好きな人ができた』という手紙がここに来る前に来たんだろ?」
「そうだよ。だから、なんであんなコメントをしたのか……私がお金に目が眩んだなんて」
「アイツ、好きな人の父が経営してた店が倒産したんだよ。それでまた借金できたらしい。それで、週刊誌の記者に金で嘘情報を言ったらしいんだ」
そうだったのか。
でも、思ったのはそれだけでずっと一緒に過ごしてきて父に恩があると言っていたのに……また裏切られた気分しかない。