【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
第4章
◇プロポーズ
「――うん、美味しい」
「本当ですか!? やったぁ」
あれから、一週間。
週刊誌騒動はあっという間に終息して、元婚約者からの謝罪も何もなかったけどまぁいいかと思ている。
今は、大宮さんのもとで煎茶道とは言えないけど煎茶の淹れ方を学んでいる。
「最初に比べたら、だけどね」
「うぅ……これからも頑張ります」
「一週間でこれだけ淹れられたら次にいけそうだ。次は五つの茶碗を並べてやってみようね」
「それって、茶会で大宮さんがしていた」
「うん、そうだよ。まぁ、気長にやろうね。お菓子食べようか」
大宮さんは懐紙を取り出して二つ折りをしてずらして銘々皿に置くと小さなどら焼きが置かれる。
「これって、由良乃製茶のどら焼きではないですか?」
「当たり。俺、結構好きなんだよね……お菊さんが閉店してすぐに由良乃製茶でこれが出てそれから自分でお茶淹れる時はいつもこれだよ。飽きないんだよね」
「……ありがとうございます」
私は、どら焼きを一口サイズにちぎって食べる。生地には由良乃製茶で作っている抹茶が練り込まれていて餡子は粒あんであっさりした甘さをしている……甘いものが苦手な人には人気商品らしい。