愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
 近年は諸外国でも和食が人気を集めており、この食事会でも招待客の関心を大いに惹きつけられた。
 さらに、料理に合わせた様々な陶器にも興味を持ってもらえたようだ。
 こういった積み重ねが日本への理解を深めるだけでなく、輸出販路の拡大につながっていく。

 国益を求めるだけでなく、日本が諸外国にとって重要な国であると認めてもらうためにはどうしたらよいのか。
 そのために様々な情報を集めて戦略を練るのは性に合っていたようで、この仕事を選んだのは間違いではなかったと確信している。


 大きな仕事をやり終えて一息つくと、ふと紅葉亭を思い出していた。

 父は、未だに迷惑をかけていないだろうか。そういえば、小春さんはもう大学を卒業しただろうか。

 一度も帰国をしていなかったせいか、あのアットホームな空間が無性に恋しくなる。
 国内勤務に戻ったら、また紅葉亭に行ってみよう。
 それを楽しみに、再び激務の日々に戻っていった。
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