愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
　あのままベルギーにいたら、それほど待たずに私たちは体をつなげて名実ともに夫婦になっていただろう。
　彼は私に十分な時間をくれたし、その間にお互いを深く知られるように尽くしてもくれた。

　どうしようもない恥ずかしさはなくらないが、相手が千隼さんだから関係を進める覚悟を決めていた。

　今のこの急な展開に戸惑いはあるものの、あれから二年近く経ってもその気持ちは変わらない。
　彼とひとつになれたら、ずっと居座り続ける不安もなくなるだろうか。そんな考えも頭をかすめたが、それ以上に愛しているからこそ私も千隼さんがほしいと願う。
　離れている期間があったからこそ、お互いへの渇望が大きくなっているのかもしれない。

　うつむいたまま、小さくうなずく。
　途端に横抱きにされて、慌てて彼の首に腕を巻きつけた。

　室内の様子は彼も事前にネットで確認しており、すべて把握しているはず。
　家具など生活用品は、一緒に相談しながら私が準備をしておいたから不自由なく過ごせる。

　無言のまま、迷いなく廊下を進む。
　向かった先は寝室で、ベッドの上にそっと降ろされた。
　隣に座った千隼さんの方を見れば、彼の熱い眼差しに捕らえられてしまう。
　再び口づけられ、恐る恐る私からも舌を差し出した。それを捉えた彼の舌が、さっきよりも激しく絡みついてくる。

　私を心から求めてくれているのが伝わり、少しだけ大胆になる。こちらからも積極的に舌を差し出すと、口づけられたまま強く抱き寄せられた。
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