拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
昨日、私が孤児院から帰宅したら、屋敷を訪れていたお父様の議員仲間がまさにこれから帰ろうとしているところだったらしく、玄関を開けるとお姉様が慌てて顔を出し『これからお客様が帰られるところだから、裏庭の方に回って待っていなさい』と耳打ちで教えてくれた。
これまでの私だったらお姉様の言葉をありがたく受け入れて裏庭に向かっていたけれど、昨日の私はそれをしなかった。私の心が、逃げたくないとそう訴えていた。
玄関に留まろうとする私に、お姉様は『あなた自身も恥ずかしい思いをするし、シェルフォード侯爵家の不名誉と取られてしまったらどうするのか』と珍しく声を尖らせていた。だが、じきに玄関にお父様に伴われたお客様がやって来て口を噤んだ。
私はバクバクと張り裂けそうな胸を抑え、震える足で実に十二、三年ぶりとなるカーテシーを披露した。
これまでの私だったらお姉様の言葉をありがたく受け入れて裏庭に向かっていたけれど、昨日の私はそれをしなかった。私の心が、逃げたくないとそう訴えていた。
玄関に留まろうとする私に、お姉様は『あなた自身も恥ずかしい思いをするし、シェルフォード侯爵家の不名誉と取られてしまったらどうするのか』と珍しく声を尖らせていた。だが、じきに玄関にお父様に伴われたお客様がやって来て口を噤んだ。
私はバクバクと張り裂けそうな胸を抑え、震える足で実に十二、三年ぶりとなるカーテシーを披露した。