拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 一拍を置いてやっと状況を自覚したのか、ティーナの頬が熟れた林檎のようにポッと色づく。俺が取ったままの手と反対の手を口もとにあてて、パチパチと目をしばたたく姿は苦しいくらいに可愛いらしく、彼女への思慕があふれた。
 ジェニスの時とは百八十度も違う反応は、俺の胸を喜びと優越で満たす。同時に、あまりに純情な彼女の反応はこそばゆくもあり、俺の頬もつられるように熱を持つ。フッと宙を仰ぎ、籠もった熱を逃がすようにひと息ついた。
 そうして視線を再び彼女に戻すと、その目を見つめて口を開いた。
「ティーナ、覚えておいてくれ。俺は君の力になりたい」
「私の、力?」
「ああ。これから先、君がもしなにかに困った時は、俺のことを思い出してくれ。必ず助けになる」
 ティーナはきょとんとした顔をしていたが、俺の真剣な眼差しになにか察した様子で首を縦に振った。
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