拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
それならまどろっこしく時間もかかるが、俺の示した対策指針を大臣らの案としてジェニスに伝えて了承を得、ジェニスの名のもとに実行した方がまだマシだ。
「私は既にチームを各地拠点に派遣し、感染対策と救護活動を開始しています。陛下の私兵をこれに割いていただけるのなら、その方がよほど現実的かつ効果的かと」
ここまで言えば、陛下にも俺の真意が正しく伝わっただろう。
ところが、陛下が俺の目をジッと見つめて口にしたのは、想像とは違うものだった。
「いや。ジェニスの反発は必ず儂が抑える。此度の窮地を救える者は、そなたの他にない。ジェニスでは……いや、儂やジェニスでは力不足だ」
……皮肉なものだな。
叔父はずっと、いつか俺が己に反旗を翻すのではないかと怯えていた。俺が王太子から廃位された直後は、経験もないまま隣国との戦に指揮官として放り込まれて死ぬ思いをしたこともあった。事実、叔父は俺の排除を目論んでいたのだろう。
「私は既にチームを各地拠点に派遣し、感染対策と救護活動を開始しています。陛下の私兵をこれに割いていただけるのなら、その方がよほど現実的かつ効果的かと」
ここまで言えば、陛下にも俺の真意が正しく伝わっただろう。
ところが、陛下が俺の目をジッと見つめて口にしたのは、想像とは違うものだった。
「いや。ジェニスの反発は必ず儂が抑える。此度の窮地を救える者は、そなたの他にない。ジェニスでは……いや、儂やジェニスでは力不足だ」
……皮肉なものだな。
叔父はずっと、いつか俺が己に反旗を翻すのではないかと怯えていた。俺が王太子から廃位された直後は、経験もないまま隣国との戦に指揮官として放り込まれて死ぬ思いをしたこともあった。事実、叔父は俺の排除を目論んでいたのだろう。