拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「……エイムズ卿。逆を言えば『シェルフォード侯爵家の令嬢であればいい』と、私にはそのようにも受け取れました」
 これまでずっと黙していたお姉様の発言に、全員の視線が集まる。
「マリエンヌ様、それはどういう意味でしょうか?」
 問いかけたのはエイムズ卿だったが、あまりに予期せぬ切り口からの発言に全員が困惑していた。
「まず、今の発言が『姉の私がティーナに取って代わろう』などと、そんな下心から出たものでないことだけは、どうかご理解ください。その上で、我が妹、ティーナはこの婚姻話に大いに戸惑っている様子。さらに妹は、これまで社交の一切を遠ざけて過ごしてまいりました。姉の私から見ても、王妃の重責はあまりにも荷が重いのではないかと」
 さらにお姉様は続ける。
「このまま婚姻を強行しても、よい結果には繋がらないだろうと危惧しております。ティーナでは殿下の寵愛は得られても、一国の安定に貢献するには力不足です」
「では、どうしろと?」
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