拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「はぁ。……とにかく、お前はもう孤児院に行くのをおやめなさい。そうすれば、後のことはお父様と私がうまくやってあげる」
 そうして、求められるまま話し終えた尋問のような苦痛な時間の終わり。お姉様が特大のため息の後でこぼした台詞に目を丸くした。
 困った時や物事に行き詰った時、私はいつもお姉様に言われるまま奥へと引っ込んで、その後の対処を任せきり。これまでずっと、そんなふうにやって来た。だけど──。
「孤児院にはこれまで通り行こうと思っています」
「なんですって!?」
 私の反論が予想外だったのか、お姉様はグリンとこちらに目を向け、悪鬼のような顔で私を睨みつけた。
 怯みそうになるけれど、私の思いを誠心誠意説明すればきっとお姉様なら分かってくれる。だって、これまで私のことを考えて、親身な助言や手助けをあんなにしてくれていた優しいお姉様なのだから。そう、自分を鼓舞して続けた。
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