拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています

「ここのところちっともお会いできなくて、忙しくしておられるのだろうと心配していたんです。あぁ、久しぶりに元気なお顔が見られてホッとしました。でも、屋敷に来てくださるなんて驚きました。なにかあったのですか？」
　ティーナはいつになく興奮した様子で、少し早口に語った。
　彼女こそ目まぐるしい状況に巻き込まれて大変な思いをしているはず。こんな時でも、真っ先に俺を気遣おうとする優しさに胸が詰まった。
　そして気のせいかもしれないが、今日の彼女はこれまでより少し大人びた雰囲気にも見えた。
「まぁ、あったと言えばあったのだが。それよりも、俺も君に久しぶりに会えて嬉しいよ。今日もこれから孤児院に行くのだろう？　一緒に向かっても？」
　なにかあったのはむしろ彼女の方だ。彼女がどんな解決を望み、どう動こうとしているのか。朝から押しかけて来たのは、これを知るためでもあった。
　しっかりとそれを聞き、彼女の思いに沿うように最大限力を尽くすのみだ。
「もちろんです！」