拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 たったひと言「助けてほしい」と言われれば、なにをおいても守り抜いてみせるのに。俺は彼女にとって、そんなに頼りないのだろうか。
 もどかしい思いが胸に湧く。
「それは、大丈夫なのか?」
 そんな内心をひた隠して問えば、彼女は俺の目を見てしっかりと頷いた。
「はい、その件はお父様や他の方の助力でなんとか打開できそうです」
「ならいいが……」
 果たして、そううまく事が運ぶだろうか。
「それに、私の中で少し考え方が変わってきていて。これまで私は無意識に周囲の反応や顔色を過度に窺って口を噤んできました。それをいいことだとは思っていなかったけれど、失敗して相手を幻滅させてしまうよりはマシだと納得もしていたんです。でもそれは、一層の事態の悪化に繋がってしまうのではないかと」
 ひと呼吸置いて、ティーナがさらに続ける。
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