拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「いえ。そのっ、私なんかがおこがましいのは分かっています! でも、これは私なりの決意表明というか……っ」
 俺の反応になにを思ったか、彼女はあわあわと焦ったように弁解を口にした。
「フッ。ありがとう、ティーナ。これ以上なく頼もしく、そして嬉しい申し出だ」
 素直に伝えれば、彼女はパァッと顔を綻ばせた。
「では! もし、私に手伝えることがあったら言ってください。ファルザード様は今回の熱病の対策をされているんですよね? 私、社交の方はからきしでしたが、計算や外国語は家庭教師の先生に褒められたこともあるんです。集計やリストの作成だったり、外国の文献を調べたり、もちろん雑用だって、なんでもお手伝いしますから」
 東地区へと続く道を進みながら、俺たちの会話は途切れない。
「いや。正直、こちらでデータの取り纏めや、情報分析をする人材は揃っているんだ。足りないのは、現地で対策の指揮を執れる人材なんだ」
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