拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「該当地域への物流は滞り、地区内の衛生環境の悪化も深刻だ。そんな状況だからこそ、中央との連携を取りながら先頭に立って指揮を執るリーダーが必要なのだが、地域の村長や町長たちではそれもままならない。ならば王都から役人を派遣しようにも、ひどいことに現地行きを押し付け合う有様で、一向に行き手が決まらない」
 ティーナが表情を陰らせた。
「なんてこと……」
「今週中にも、俺がアゼリア地区に発とうかと思っている」
「えっ!?」
「感染の爆発する彼の地域は、我が国の重要な穀物庫だ。このまま対策が後手後手のままでは秋の収穫が全滅し、王国中が飢えに喘ぐことになる。回避のためには、力あるリーダーが必要だ」
 ガバッと俺を仰ぎ見たティーナの顔色が、目に見えて悪い。
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