拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 今でも、自分が精霊のいとし子だなんて信じられない思いだが、ラーラの声が私にだけ意味あるものとして聞こえていることがなによりの証拠でもあり、最後は受け入れざるを得なかった。
 ただ、おかげで一点自分なりに納得できたこともある。ジェニス殿下が私を妃に求めた理由だ。きっと彼は気づいたのだ。そうして私を妃にすることで、いとし子を伴侶とした歴代の王たちと同様の恩恵を得ることを期待している。
 だけど、残念ながら私はその期待には応えられそうにない。そもそも、私の魔力は雀の涙ほどしかなく、ラーラが私の魔力を増幅する機会は訪れない。
 これを知れば、きっと殿下は落胆と共に諦めるだろう。そう、確信していた。
『みゅー《ふふっ。ティーナにとっていとし子の事実より、ファルしゃまへの感謝や愛を告げることの方が優先度が高いのね?》』
「ちょっ!? 愛を告げるだなんて、私はそんな……っ」
 気まずさから思わず声が裏返る。
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