拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 そう。あの時の私は、彼に「あなたを尊敬している」とそう続けようとしていた。愛を告げるだなんてとんでもないことだ。
 ……だけど、もしあの雰囲気のままさらに言葉を重ねていたら、口にするつもりのなかった深層の想いまで飛び出してしまっていたかもしれない。
「もうっ、揶揄わないでちょうだい」
 それにしても、ザイオンとの会話に夢中と思わせておいて、こっちの話を横聞きしているだなんて反則だ。
 焦ったように否定する私を見上げ、ラーラはコテンと首を傾げた。
『みゅー《揶揄ってなんてないよ。なんで好きなのにその心を伝えるのを恥ずかしがるの? あたしはちゃんとザイオンに伝えたよ》』
 昨日まで赤ちゃんネコだとばかり思っていたラーラと男女の愛を語るのは少しこそばゆいが、《ザイオンに伝えた》と堂々と言い切られてはその内容が気になって仕方ない。
「え!? なにを言ったの!?」
『みゅー《離れ離れになっちゃうけど、待ってるからって。ザイオンの赤ちゃんをあたし以外に産ませちゃ嫌だって、そう伝えた!》』
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