拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 恐ろしくはない。感染を防ぐための対策は、他ならぬ彼自身から教わっている。
 むしろ、大義名分を得てファルザード様の近くで、病に苦しむ患者たちのために働くことができる。そのことに、隠しようのない高揚と喜びを覚えた。
 私にどれだけのことができるか分からない。けれど、孤児院に通いだして早二カ月。園芸以外にも、子供たちとの交流を重ねてきた。その中で、頻度は多くないが食事や排泄の介助にも携わった。
 その経験を診療所で活かすのだ──!
「いえ。私、精いっぱいお世話します! 少しでも患者さんたちに快適に過ごしてもらえるように、できる限り尽くします!」
『みゅー《それ、いいわね! あたしも手伝う!》』
 私の決意表明に、ここまで私の意を汲んでずっと床の隅で静かにしていたラーラが、ピョンと膝に飛び乗ってきて賛同の声をあげた。
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