拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 彼女は口もとを布で覆い、括った髪も看護帽に隠しての看護服姿だった。足もとには彼女の精霊がピタリと寄り添い、《やっと来たか》とでも言いたげに、俺と俺の脇にいるザイオンを眺めていた。
 飾り気のない簡素な姿をしていても、彼女は豪華に装ったどんな女性たちより清らかで美しかった。
 まばゆい彼女に目を細め、掠れがすれに問う。
「……ティーナ。なぜ、君がここに?」
 ティーナは少し困ったように小首を傾げ、言葉を選ぶように答える。
「実は、私自身あまりよく分かっていないんです。きっと、いろいろな行き違いや……もしかすると、天のお導きもあったのかもしれません」
 曖昧な物言いだが、それだけで彼女がここにいるわけが想像できた。
 何某かの悪意……おそらくマリエンヌやジェニスのどちらか、あるいは結託したふたりによって、彼女はここに押しやられたのだ。
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