拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「ファルザード様、私がこの地にいる時点で、王都に戻ってきた時に伝えるとしていた前提が崩れていると思うんです。だから今、言わせてください。……私、あなたをお慕いしています」
 突然の告白を耳にして、時間が止まったような錯覚がした。
「おそらくファルザード様はご存じだったと思うんですが、ジェニス殿下との婚姻話が私の知らないところで進んでいました。婚姻話を初めて聞かされた時、あなたの顔が浮かびました。同じ時間を過ごす中であなたの存在がどんどん膨らんで、いつの間にか掛け替えのない存在になっていた。あなた以外の相手は嫌だと、心が叫ぶんです。あなたのことが好きです」
 ほとんど無意識の行動で、気づけば彼女を抱きしめていた。
「あっ!?」
 看護服を脱いだ今ならばいいだろうとか、そんな理性的な思考は掻き消えて、ただ彼女への圧倒的な愛しさに突き動かされていた。
 胸に彼女を閉じ込めて、その瞳を間近に見つめて告げる。
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