拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「俺も同じだ。最初は使命感や責任感から世話を焼いていたはずが、健気で一生懸命な君から目が離せなくなっていた。そしていつしか唯一無二の大切な女性になっていたんだ。君を、愛してる」
潤んだ彼女の目から、透き通る雫がポタリとこぼれる。
「夢みたいです。私ではあなた相応しくないと、ずっとそう思っていたから。まさか、そんなふうに言ってもらえるなんて」
「馬鹿な。俺は君より十も年上で、しかも日陰の身。若く美しい君に、予防線を引いていたのは俺の方だ。だが、もう遠慮はしない。君をジェニスなんかに渡すものか」
俺は彼女の濡れた目もとをそっと指先で拭いながら、独占欲を滲ませた。
「あ、婚姻の件はもうなくなっているはずです。その話が勝手に拗れて、私は今ここにいるので」
「いずれにせよ、ジェニスには相応の責任を──」
「ファルザード様、こちらにおられますか!?」
診療所の方向から、馬の足音と共に俺を呼ぶ側役の声が聞こえてくる。俺は腕の中からティーナを解放して、振り返った。
潤んだ彼女の目から、透き通る雫がポタリとこぼれる。
「夢みたいです。私ではあなた相応しくないと、ずっとそう思っていたから。まさか、そんなふうに言ってもらえるなんて」
「馬鹿な。俺は君より十も年上で、しかも日陰の身。若く美しい君に、予防線を引いていたのは俺の方だ。だが、もう遠慮はしない。君をジェニスなんかに渡すものか」
俺は彼女の濡れた目もとをそっと指先で拭いながら、独占欲を滲ませた。
「あ、婚姻の件はもうなくなっているはずです。その話が勝手に拗れて、私は今ここにいるので」
「いずれにせよ、ジェニスには相応の責任を──」
「ファルザード様、こちらにおられますか!?」
診療所の方向から、馬の足音と共に俺を呼ぶ側役の声が聞こえてくる。俺は腕の中からティーナを解放して、振り返った。